彼女のすべてを知らないけれど




――――四ヶ月後。11月。冬の気配が漂う季節。

大学生活にもだいぶ慣れて、然以外の友達もたくさんできた。

あれからも、ポスティングのバイトはずっと続けている。

ウィンクルムと一緒に取った屋台の金魚は、今も元気に水槽で泳いでいる。

ウィンクルムと暮らしたのはたった数ヵ月で、大学に通った期間より短いものだったのに、俺はまだ彼女のいない生活に慣れないでいる。

今でも時々、夢で彼女の声を聞く。

『悔しいから他の人と幸せになってほしいなんて言いたくないけど……。あなたの落ち込んだ表情は見たくないから、やっぱり幸せになって』

そう言い、消える彼女。

この夢を見るたび、俺は動揺してしまう。

勝手に現れて勝手に消えた彼女らしいセリフだなと思いつつ、俺の深層心理から湧いた警告夢なのか?とも思う。

――いい加減、忘れなきゃダメかな。

これ以上想っていたら、気持ち悪い?

客観的に自分を見つつ、やっぱりまだウィンクルムのことを忘れられない!と、もう一人の俺が主張した。