彼女のすべてを知らないけれど


俺はベッドを抜け出し、熱があることも忘れて外に出た。

ミコトなら……!あのお守り作りに力をかしたミコトなら、ウィンクルムの願いを変えて長生きできるようにしてくれるかもしれない。

命守神社に行こう!!

ふらつく足をもどかしく思いながら道路に出ると、ウィンクルムに止められた。

「そんな体でどこに行く気!?」

「ミコトに会ってくる!ミコトなら、ウィンクルムの命を永遠のものにしてくれるかもしれない……!」

だって、ミコトは命を司る神なのだから……!!

「待って!そんなこと、私は望んでない……!」

「……!」

強く言われて、俺はハッとする。通りすがりの人が、じろじろとこっちを見ていた。

「中に入って……」

「嫌だよ……。ウィンクルム、ウソだよね?どうしてそんなこと言うの?」

ウィンクルムと離れたくない。ウィンクルムは、俺と離れても平気なの?

ウィンクルムは俺に抱きつく。

「今与えられた時を生きるのが私のすること。

不快なのよ。自分の勝手な都合で命を延ばす行為は。もちろん、あなたに悪気がないのは分かっているわ。でもね、聞いてちょうだい」

俺から離れ、ウィンクルムはまっすぐこっちを見つめる。

「生と死は表裏一体。生物の意思で好きに操作していいものじゃないはずよ。こうしてあなたと向き合っていることすらも、タブーなんだと私は思う」

「…………そんな……」

命をもてあそぶのは良くない。ウィンクルムの言いたいことはよく分かる。

この瞬間、クロムのことを思い出した。

でも、俺は……。