泣きそうになる俺を見て楽しむみたい に、ウィンクルムは満足げに笑ってい る。
前に告白したこと、今も迷惑だと思って るのかな。遠回しに、嫌いって言って る?他の男に好かれる方が良かったって 言いたいの?
そっか……。看病してもらったくらいで 喜んでる俺の気持ちに気付いてクギさし たってことかな。
そうだ。ウィンクルムが優しいのは同居 人への義理。それだけだ。
分かってたことだよ。分かってた。分 かってたのに、「もしかしたらウィンク ルムも俺のことを特別に思っててくれる かもしれない」だなんて、都合の良すぎ る妄想もいいとこだ。
「……もっと、突き落として?」
俺は言った。
「ちょっと優しくされたくらいで好きの 気持ちが溢れてしまわないように、俺の ことめちゃくちゃに傷つけてよ……。そ したらきっと、ウィンクルムのことあき らめられるから……」
それっきり、ウィンクルムの顔は見られ なかった。
彼女にきっぱりフラれた時に決めたはず だ。彼女とは友達兼同居人としてフラッ トに接するって。それなのに、これじゃ あ俺は、彼女にとって未練がましい迷惑 な男だ。
ウィンクルムは黙ったままこっちを見て いるみたいだった。うつむいていても何 となく分かる。情けないこの姿に、あき れてるんだろうか。


