「好きでもダメって、どういうこと?」
里桜の言っている言葉の意味が、全くわ からない。
俺達の会話にスムーズに割り込む声がし たのは、すぐのことだった。
「我もそう思うな」
「!?ミコト!!」
久しぶりに、神の登場。
今日のミコトは、どういうわけか、いつ もの全身黒スーツじゃなく、その辺に普 通にいそうな男子学生ぽい格好をしてい る。どうして?(神相手にこんなこと考 えるだけムダなんだけど、ミコトって年 齢不詳だ……。大学生に見える神って いったい……。)
「あなたは?」
そう尋ねる里桜の頬が、あからさまに赤 くなっている。そうだった。ミコトは一 風変わった神だけど、外見は超絶かっこ よかったんだ。
普段は神だから俺にしか姿を見えなくし てるけど、里桜にも見えてるってこと は、何かまた、神的人外の能力を使って 人間化してるんだろう。
「我は、湊と同じ大学に通う……。そう だな、一応先輩だ」
無理矢理感ハンパないな、オイ!里桜に 対してそんなとりつくろった設定通すた めに、わざわざ服装変えてきたのか!?
「あのっ、私、高校から湊の友達で、里 桜っていいます」
いつもキッパリサッパリしている里桜 が、ミコトの前では緊張感丸出しだ。臨 時内気キャラなんだろうか。
二人とも、詐欺だ。と、俺は内心げんな りせざるをえなかった。


