彼女のすべてを知らないけれど


「やっぱり夜中は、星がきれいね」

そうつぶやく彼女の隣で、俺はそんなこ とを思っていた。

自分でも知らなかった。こんなにウィン クルムを好きになっていたなんて……。





それからのことは、断片的にしか覚えて ない。

ウィンクルムと帰宅して、それから眠っ て、朝起きたら里桜が先に起きていて、 ウィンクルムはいなかった。またどこか へ出かけたらしい。


「で、どう?あれから、ちゃんとウィン クルムちゃんと話せた?」

里桜と二人、カフェで朝食中。カフェオ レを一口で半分くらい飲み、里桜はさっ そく質問を浴びせてきた。

隠していても、いずれバレる。そう思 い、俺はホントのことを里桜に報告し た。

「フラれたよ。ウィンクルム、こっちが 言う前に俺の気持ち気付いてたみたいだ し」

「えっ!?何で?」

「何で、って、何が?」

「だーかーらー!何でフラれたの?」

里桜は心底納得できないといった面持ち で、

「私、二人は絶対両想いだって確信して たんだけどなぁ」

「確信じゃなくて、そうなったらいいの にってだけの話じゃないの?ごめんね、 里桜の期待に応えられなくて」