彼女のすべてを知らないけれど


強引に押しかけてきたと思ったら、お客 様扱いされるのも嫌らしく、アパートに 着くなり、里桜は食事の仕度を始めた。

「いいよ、里桜は座ってて。俺やるか ら」

「いーの!湊の方こそ、座ってて!」

「強引なところは相変わらずだなぁ」

「何か言った?」

「いえ、別に……」

ウィンクルムもそうだけど、里桜もけっ こう気が強いな。女の子ってみんなそん な感じなのかな。他の女の子とそう親し くなったことないからよく分かんないけ ど。

俺がぼんやりそんなことを考えてる間 に、里桜はパスタを作ってくれた。

昨日、夕食を作った時に残った食材を 使ったらしい。とはいえ、残り物で作っ たとは思えないくらい見た目もきれい で、いいにおい。

「すごいな!あの食材がこんな風になる なんて!俺もけっこう料理やってる方だ と思うけど、パスタは全然で。どうやっ て作ったの?」

「ヒミツー!」

「えー」

そう言われるとますます気になる。

「いいじゃん、教えてよー」

「もぉ、それより先に食べてから感想聞 かせてよ。作り方は、今度気が向いたら 教えるからさ」

「わかったよ。いただきまーす!」

もぐもぐ。……ん!?うまいっ!!

なんなんだ、この味は!!

他で味わったことのないまろやかでコク のあるソース。冷蔵庫の残り物で作った とは思えないくらい、豪華な舌触りがす る。