彼女のすべてを知らないけれど


「分かってないなー、湊はー」

それまでの熱弁はウソだったのかと言い たくなるくらい、軽い調子で里桜は言っ た。

「女友達の部屋に泊まったって言ったっ て、何のインパクトもないじゃん!!男 の部屋に泊まる、これがポイントなんだ よ。

私、タクに嫉妬してほしいの。

しかも、湊なら安心だし。タクと仲良 かったし、女にがっついてない。理想の 草食系友達。彼女いないし」

「はぁ……」

褒められてるのかけなされてるのか。こ の前の『彼女いる?』は、里桜的予備調 査だったんだな。

里桜が考えたこの方法が正しいかなんて 分からないけど、里桜には恩がある。ク ロムの話を聞いてくれた。

「わかった。里桜の気が済むまで付き合 うよ」

「わーい!ありがと~♪湊ならそう言っ てくれると思った~!」

キャイキャイ騒ぐ里桜に、待ったをかけ た。

「でも、今アパートに居るのは俺一人 じゃないんだ。もう一人同居してるコが いる。それでも良ければ、だけど……」

「えっ!!そうなの?大学の友達?シェ アハウス?ルームシェアとか?」

「うん、まあ、そんなとこ」

ウィンクルムの素性や事情は、里桜には 黙っておくことにした。その方がいいだ ろう。話したとしても、多分信じない し。