彼女のすべてを知らないけれど


駅前までは、歩いて10分くらいで着い た。

こうして女の子を迎えに行くーというシ チュエーションは初めてで、自分のこと ながら俺らしくない状況だなと冷静に 思った。


「ごめん湊!!ありがとね!」

俺が駅に着くなり、里桜は卒業時と変わ らない笑顔を見せた。

「どうしたの、急に。大学休んできたと はいえ、俺に会うためにわざわざ休んだ わけでもないんでしょ?」

「そーゆうトコ、相変わらずだね、湊 は」

クスクス笑って、里桜は言う。

「今日は大学サボった!アイツと顔合わ せたくないから」

「もしかして、タクとケンカした?」

タクとは、高校時代同じクラスだった里 桜の彼氏の名前だ。タクと里桜は高1ぐ らいから付き合ってて、今も同じ大学に 行っている。

「タクなんて知らないっ。アイツ、最近 なんかおかしいんだー」

歩きながら、里桜は話した。俺もそれに 付き合う。

「おかしいって?大学サボるほどのこ と?」

「サボるほどのことだよ。

湊にだから言うけど……。最近、タクバ イト始めたんだけど、それから変なん だー。メールしても返事くれないし、翌 日話聞くと『疲れて寝ちゃった』としか 言わないし……。前は欠かさず連絡くれ たのに」