彼女のすべてを知らないけれど


「ごめん、またメールする!ありが と!」

然との電話を終えて、俺はスマホ画面を 見た。何件か着信履歴が残っている。そ のうち3件は然、あとは、里桜の名前で 埋まっていた。

里桜とは待ち合わせの約束をしたとかで もないのに、

『今どこ!?』『電話出て!!』『大学 休み?』と、まくし立てるような留守電 メッセージまで入っている。

どうしたんだろう、こんなにあわてて。 穏やかな里桜らしくない。

とりあえず折り返しの電話をかけたら、 里桜はすぐに出た。

『湊ー!やっとつながったぁ!』

「留守電聞いたよ。大学にも来てたって 聞いたけど、里桜は学校とか大丈夫?」

『それどころじゃないんだよ……。湊、 今どこにいる?』

「アパートだけど……」

『駅前に居るから、今から来てくれな い?この辺、よく分からなくて……。話 は会ったらするから……』

「わかった、すぐ行くから、ちょっとそ こで待ってて!」


里桜のところへ向かう前に、俺は隣の ベッドルームを見た。ウィンクルムは、 いなかった。