『何ともないならいいや。代返できる講 義は代返しといたから、こっちは心配な い。それより……』
楽しげだった然の口調が、急に深刻な感 じになった。
『今日、昼頃かな?大学まで女の子が訪 ねてきた。湊に用があったみたい。色ん な人に湊の居場所訊いててさ。
俺も訊かれたから、今日は来てないって 言っといたけど、あのコ、ずいぶん慌て た様子だったなー』
「女の子?誰だろ、わかんない」
と答えつつ、ひとつの予想が浮かんだ。 この前、交流用スマホアプリでやり取り をした市橋里桜。高校時代の女友達(彼 氏アリ)。
俺に彼女がいるかどうかを訊いてきた り、急に連絡が途絶えたり、と、里桜と のやり取りには引っかかりが残ったまま だった。とはいえ、ウィンクルムの件で 里桜のことはすっかり忘れてたけ ど……。


