彼女のすべてを知らないけれど


「これは……!?」

そこには、ウィンクルム本人からは聞い たこともない単語がズラッと並んでい た。

『人捜し』『探偵』『猫を捨てる理由』 ……。

でも、よくよく考えてみれば、ウィンク ルムがこういうことを調べていてもおか しくない。

彼女は、自分の飼い主だった人間を探し ているんだ……!

ずっと分からなかった。彼女が俺の前に 現れた目的、みたいなもの。

きっと、自分の家主だった人を探すた め、人間になってまでここに存在してい るんだ。

そうだ、そうだよ。それしかない。

どうして今まで気付かなかったんだろう!?

彼女と初めて会った時の、心細げな表 情。

猫にひどい仕打ちをする人間に対しての 軽蔑。

ウィンクルム――絆という意味の名前を 与えた彼女の飼い主の話。

そう話していたウィンクルムが、とても 寂しげに見えた。


このアパートに来たのは、きっと、頼れ る人間が他になかったからだ。

俺は、ウィンクルムが猫だった時、少し だけど彼女に関わった。だから彼女は、 唯一、俺を頼って――!