彼女のすべてを知らないけれど


ウィンクルムがどこに出かけたのか、知 りたいけど知りようがない。

彼女はケータイを持っていないから、 こっちから尋ねる術(すべ)がない。

何か約束したわけじゃないけど、ウィン クルムがいないこの瞬間が、寂しかっ た。


そういえば、こうやって彼女と離れて過 ごすことは初めてだ。

一人で過ごす昼。

家にいる間中、彼女がずっとそばにいる ことが当たり前だと思っていた。でも、 そうじゃない。

彼女にとって、俺はただの同居人で宿主 なだけ。

俺は、彼女にはのびのび暮らしてほしい と思っているし、今みたいに、彼女が自 由に外出することに対していちいち寂し いとか言ってしまうのも嫌だった。彼女 のやりたいようにしてほしい。

なのに、その一方で、そばにいてくれな いことがやっぱり寂しくて……。

改めて、俺は彼女への想いを自覚させら れた。

突然ウィンクルムが居なくなった合鍵事 件の時みたいに、今回アパートを飛び出 して彼女を探さなかったのは、彼女を尊 重したい気持ちと寂しさで葛藤していたか ら。それに加え、死んだ金魚をそのまま 放っておけなかったから。