「じゃあ、ウィンクルムに浴衣を着させ てくれたのは、母さんじゃなく て……!!」
「ああ。他でもない、我だ」
「どうりで!母さんらしくないと思っ た!!妙に自信満々だったし!」
それがミコトだったというのなら、納得 できる。
「お前が、あの娘の前で浴衣を着せる着 せないでモタモタしているからだ。見て いられなくなってな。
我のあまりある神の力をもって、スムー ズに事をはこんでやったのだ」
「それは感謝してるけど……」
なんだかモヤモヤして、言葉につまる。 なんなんだ、これは。
ミコトは、俺以上に俺の感情に詳しいら しく、
「ん?着替えの最中、彼女の肌を見た我 に嫉妬している、という顔だな」
「別にっ!!」
「安心しろ。我はこのような形(なり) をしているが、性別を超えた孤高な存 在。たとえ女の裸体を見たとしても欲情 することはあるまい」
「恋したいとか言ってた人のセリフとは 思えないんだけど」
俺はジトッとした目で、ミコトを見た。
相変わらずイケメンの黒スーツ神は、わ ざとらしく悩ましげなため息をつく。
「はぁ。立派にヤキモチは焼くクセに、 いまだにあの娘との距離を安全圏で保っ てるヘタレっぷりは変わらないな。お前 はいったい何がしたいのだ」
「安全圏って……。そんなつもり……」
「そうか?我の目には、ちょっとばかし ミョーな感じに映っているゾ、湊」
「俺とウィンクルムのこと?」
「そうだ」
ミョーって、どういうことだ?


