彼女のすべてを知らないけれど


「よしよし」

ウィンクルムの頭をなでる。

「そういうとこ、猫っぽくて可愛いと思 う。ウィンクルムの気持ち、聞けてよ かった」

彼女のことを、またひとつ知れた気がす る。

出会った頃には感じなかった気持ちが、 俺の中には溢れていた。

“ウィンクルムちゃんと湊なら、うまく いく気がする”

いつか然が言ってくれたことを思い出 す。あの言葉は、ルームメイトとしてと いう意味じゃなく、恋人同士としてうま くいくという意味だったのかな?


この関係から一歩先に進みたい。俺がそ う言ったら、ウィンクルムはどうするだ ろう?


ウィンクルムもウィンクルムで何かを考 えていたらしく、浮かない顔でこんなこ とを口にした。

「人間ってもろいのね。あの失恋神社坊 主が、恋を失った程度であんなに変化を 見せるなんて、私には予想外のことだっ たわ。死ぬこと以上に悲しいことが、こ の世にあるとは思っていなかったから」

「ウィンクルム、どうしたの?突然」