彼女のすべてを知らないけれど


「そんなっ!」

然は、案内役すらさせてもらえなかっ たっていうこと!?あんなに、今日の祭 を楽しみにしてたのに!


ため息をつき、然は目を閉じる。その顔 に、もう笑いはなかった。

「元カノ、俺の気持ち見抜いてたみた い。『今さら優しくされても困る』って 言われたよ」

彼氏と祭を回るつもりだった然の元カノ は、会ってそうそう二人の元を去った然 にメールを送ったらしい。

然はその文面を俺に見せた。

《アンタのこと友達なんて思ってない し、今はアイツが好きだから。

付き合ってた頃、さんざん私のこと放置 したクセに、今さら親切ぶるのやめて。 イライラする。》

「『そんなつもりない』ってすぐに返信 したけど、送信エラーしてメールできな かった。そんなにアイツのこと傷付けて たなんて、知らなかった……」

言い終わり、然は両手で自分の目をふさ ぐ。泣きたいのを我慢してるみたいに見 えた。