彼女のすべてを知らないけれど


「店主さん、これ、もう一杯になった わ。袋に移してちょうだい」

思いにふける俺のそばで、ウィンクルム は早くも金魚すくいに挑戦していた。し かも、めちゃくちゃうまい!

「よーし!俺も負けないぞ!!」

ウィンクルムの横にしゃがみこみ、俺も 店の人に器とポイをもらった。


――結局、ウィンクルムの腕には敵わな くて、俺は20本のポイを穴の空いたゴ ミに変えただけに終わった。

「いいじゃない。楽しめたんだから」

金魚袋を片手に5つもぶら下げたウィン クルムになだめられるなんて情けない気 もしたが、

「そうだね」

楽しいって気持ちの方が大きかった。 久々に、こんなに何かに夢中になった気 がする。

「それにしても、すごいな。ウィンクル ムにこんな特技があったなんて」

俺はウィンクルムの取った金魚を見た。

どんなテクニックを使えばこんな収穫を 得られるんだろう。

ウィンクルムはたった2本のポイで30 匹もの金魚を捕獲した。店主が途中から 涙目になっていたことには、気付かない フリをしとこう。