彼女のすべてを知らないけれど


「でもまぁ、冗談で良かったよ。ふぅ」

「リアル男子はそう簡単に女になびく生 き物じゃないと分かったわ。今の実験 で」

「実験て」

「『この体はあなたのものよ』この一言 で、ライトノベルの男主人公は鼻から血 を吹き出して大喜びだったのにね」

「そんなキャラと同類にされたのか、俺 は」

「かっこつけちゃって。正直になりなさ いよ」

「ウソなんかついてない!ったく……。

これからは前置きアリで実験してよね」

「前もって実験だと知らせたら正確な測 定ができないから却下」

俺は脱力した(そのライトノベルを否定 はしないけど、影でこういう被害者がい ること、著者は考えてもいないだろう な)。


「じゃあ、もう少し屋台を見ましょう。 無駄にしゃべり過ぎてノド渇いたし」

「はいはい」

良かった。すっかりいつもの彼女だ。