「もうすぐ元カノ来るから、もう行くわ。 最後まで案内できなくて悪いけど、まだま だ回ってない場所いっぱいあるし、あとは ウィンクルムちゃんと楽しんできてな!」
「ねぇ、然!」
「ん?」
「大丈夫、なの?」
訊いてしまった。考えるより先に、そう 言ってしまっていた。
然なりにこっちの言おうとしてることを察 してくれたらしい。
「大丈夫大丈夫!もう割り切ってるし、今 は吹っ切れてるんだーってトコ見せてくる から」
「ならいいんだけど……」
「そんな顔するなって!」
「うん……。ありがとう、ここまで案内し てくれて」
「いーって!もし迷ったら電話して!じゃ あな!」
人ごみをかき分けて走り去る然の後ろ姿を 見て、俺は思った。然はちっとも元カノ を“忘れて”いないんだって。
……俺には元カノどころか彼女すらいたこ とないから、然の気持ち全部知ったような こと言えないけど、なんとなく、見てて分 かったんだ。然の気持ち。元カノとは「友 達」って、一生懸命自分に言い聞かせて るってことも……。


