「よく似合ってるわ~!さすが私の腕よ ねっ」
ルンルンした様子で自分を褒め称える と、「じゃあ、用は済んだし私は帰るわ ね!お祭り楽しんできなさ~い」と言い 残し、母さんは帰っていった。
「あなたのお母様、想像をはるかに越え た方ね」
「うん……。俺もビックリしてるよ」
風のように現れて風のように去っていっ た。いや、「風」じゃなく「ハリケー ン」と表現してもいいくらいかも。
色々ぶっ飛びすぎだよ。何なんだ、あれ は。しばらく離れて暮らしてる間に、母 さんの人格をガラリと変える何か大きな 出来事があったとでもいうのか?
「母さん、変だった。いつもはあんなん じゃないんだ。ウィンクルムの浴衣を着 せてくれたのは感謝だけど、あれよりは 大人しい感じの人なのに。それに、今日 お祭りがあること、大学の友達以外とは 話題にしてないのに……」
「まあ、いいわ。私は助かったしね」
ウィンクルムは自分の片手を満足げに胸 の前にかざした。
「前から、いいなと思っていたのよ。こ ういうの」
「そんなに気に入ってもらえるなんて、 嬉しいな」
俺はホッとした。用意して、本当に良 かった。
よく考えてみたら、色とかの好みがある と思ったし、買う前に彼女の好みをリ サーチしておくべきだったと、あとあと 後悔した。気に入らない柄だったら意味 ないし。
でも、そんな不安は一気に消えた。
「ありがとう。ますます、お祭りに行く のが楽しみになったわ」
ウィンクルムが満面の笑みをしてくれ た。
この瞬間が、何よりのプレゼントだっ た。
いつもはツンツンして素直じゃない子だ けど、こういう時、俺は知る。彼女も、 ただの女の子なんだって。


