彼女のすべてを知らないけれど


「楽しみにしててくれたんだ!嬉しい。 俺も同じだよ」

笑ってそう返す。するとやっぱりウィン クルムはムッとした顔で、「ヘラヘラし てバカみたいな顔になってるわよ」と言 う。

「元からバカだから、別にいいもんね」

俺は俺で、ウィンクルムのあまのじゃく 発言をサラッとかわした。


「ウィンクルムをさらにワクワクさせる 物があるんだ」

クローゼットの中から、この日のために 用意した浴衣(ゆかた)を出す。

謎めいたウィンクルムの雰囲気をさらに ミステリアスにさせそうな紺(こん)色 ベースの生地。そこに、白や紫、薄い桃 色の花模様があしらわれている。

「それ……!」

ウィンクルムは、俺の手元を凝視した。

「もしかして、私に?」

「うん。きっと似合うと思って」

「…………」

黙ったまま、ジッと浴衣を見つめるウィ ンクルム。