大学の夏休みは七月下旬から始まる。
まだまだ期末試験が残っていることを考えると気が重たいけど、そんなことも忘れてしまえるくらい、俺はウィンクルムと行く七夕祭りを心待ちにしていた。
普段、ゼミの課題やレポート提出で忙しい俺のためにと言い、ウィンクルムが夜ご飯を作ってくれるようになった。
料理は俺も得意だし、ウィンクルムにばかり負担をかけたくないからやらなくていいと言い聞かせても、彼女は、「負担なんかじゃない」と言うだけで、ほとんど毎日、様々な手料理を作ってくれた。
「同居させてもらってるんだから、そのぶん働くわよ。後で何か言われても嫌だし」
言い方は相変わらず可愛くないけど、彼女の料理の腕前は最高だった。
俺の生活費上、決して贅沢はできなかったし、安い食材しか買ってあげられないけど、ポスティングのバイトをして帰ってきた日には、手の込んだ料理で疲れを癒してくれた。
最初は、俺が教えたレシピのみを参考にしていたけど、ウィンクルムは次第に自分流のレシピを作って、見たことのない料理を作っていた。
前の飼い主が、そういうものを作っていたのかな?心の片隅でそう思うと胸がチクッとしたけど、口にはしなかった。
そうやって、いつも気を張っているウィンクルムに、思いきり楽しんでもらいたい!七夕祭りをキッカケに、彼女ともっと親しくなりたいと思った。
この日のために、俺は、彼女が寝ている時間をみはからい(時々昼寝をしている)、バイト代で彼女の浴衣を買いに行っていた。
いつだったか、テレビで浴衣を来た女の子を見て、彼女はこう言っていた。
「日本人といえば、浴衣よね。普段から着ればいいのに」


