彼女のすべてを知らないけれど


なぜ、然に対してそんな態度を取ったのかを後で彼女に訊いてみたら、意外なほどアッサリした返事が返ってきた。

「なんとなく、苦手だから」

彼女にとって、然の存在は「苦手だから避けるべき存在」ということらしい。

まだよく関わってないうちから顔見知りの女の子に苦手意識を持たれてしまう然も可哀想だったが、人に対する苦手意識はどうしようもないことでもあるし、俺はそれ以上彼女に何も言えなかった。特に、元猫の彼女には、俺達人間にはない感覚や感性があるのかもしれないし……。

ウィンクルムとの会話で、それとなく然の長所を伝えてはみるんだけど、「その人に興味ないから」と、聞く耳を持ってもらえない。

「俺、ウィンクルムちゃんに嫌われてるんだろうけど、お祭りではそんなの気にせず、楽しみたいんだ。ウィンクルムちゃんにも、人間の世界の良さを知ってもらいたいし!」

「然……」

「湊も、大学来てる間、アパートにいるウィンクルムちゃんのこと心配みたいだし」

「うん、そうだね。いくら人間らしい暮らしに慣れてきたとはいえ、一人にさせるのはね」

「七夕祭りで、思いっきり楽しんでよ。俺、親の手伝い終わったら色々案内するしさ!」

「ありがとう」

ウィンクルムのこと、そこまで考えてくれてるなんて……。彼女の然に対する冷たい態度を何ともできない俺に比べ、然は大人ですごいと思う。ちょっと申し訳ない気分になると同時に、やっぱり、然の前向きさにはいつも励まされているなぁと実感した。