彼女のすべてを知らないけれど


「まったく、湊は。ウィンクルムちゃんが来てから、ボンヤリ率高すぎっ」

俺の反応にあきれたのか、然は冗談ぽくそう返し、説明してくれた。

「来月なんだけど、ウチの神社で七夕祭りがあるんだよ。毎年、たっくさん屋台が出るし、近くの河川で、小規模だけど花火も打ち上げられるんだ」

そういえば、然とこの神社は、毎月催(もよお)し事が行われていて、屋台とかも出るって聞いてたっけ。

「でさ、湊ってまだ、ウチんとこの祭り来たことないじゃん?」

「そうだったね。先月も今月も、催し事のある日に限ってこっちはバイトだったし」

「だろ?だからさ、今度の七夕祭りこそ、来てほしくってさ!一年の中でもすっごい豪華な感じの祭りになるからさっ!」

「そうだね、ちょっと待ってて」

俺はスマホを取り出し、スケジュール欄をチェックした。バイトの日とかぶってませんようにっ!!

「うん、大丈夫。七夕祭りの日は、バイトじゃないから。良かったぁ」

「やった!じゃあ、ウィンクルムちゃんも連れてこれば?」

「えっ、でも……」

然の誘いに、うんと言いたい。ウィンクルムも、アパートばかりじゃなくてたまにはそういう場に出かけたりしたいだろう。けど、彼女は極度の人見知りで、俺以外の人間と関わろうとしないのだ。

ウィンクルムがウチに来て以来、然が何度かアパートに来て彼女に挨拶しようとしていたんだけど、彼女は奥の部屋に引っ込み、いくら声をかけても出てこなかった。

あれは、あからさまに然を避けていた。然もきっと、それを気にしているんだと思う。