「まあ、そう膨れるな。楽しめば良いではないか」
楽観的な口調でそう言った直後、ミコトのまなざしはかすかに陰(かげ)った。
「お前もよく分かっているだろうが、どの命も、限りあるものだ。いつか消えてしまう。永遠に続くものなど、ひとつもない。我々神以外の者は全てそうだ。
だからこそ、寿命ある者の生(せい)は輝かしいものになる。もちろん、本人がその努力をしなければ、せっかくの命も宝の持ち腐(ぐさ)れだ。
常にプラス思考でいるのは難しいかもしれないが、なるべく楽しむことだ。せっかく与えられた命なのだからな。湊も、ウィンクルムも、意味があってここにいる。お前にはピンとこないかもしれないが、我には分かる。お前たちが生きている今の時代は、後世に必ず影響するのだ。
間違えるなとは言わない。出来るだけまっすぐ生きてみるといい。
ウィンクルムはウィンクルムになるため、湊は湊になるための人生なのだ。それを忘れるな」
「ミコト……」
「楽しむことだ。そして、幸せになれ、湊」
この時ミコトが話してくれたことは、翌朝になっても俺の胸に残り続けたのだった。


