彼女のすべてを知らないけれど


やれやれとつぶやくミコトから離れて、俺は空を仰(あお)いだ。隣で、ミコトも同じように上空を見つめている。

「時代がいくら変わっても、この空だけは変わらないな。はるか昔からずっと」

「そうなんだ……」

「お前は、色々難しく考え過ぎるところがある。だがな、それは決して悪いことではない。

ウィンクルムなる少女は、湊となら大丈夫、そう決めてお前の前に現れたのかもしれないぞ」

「だといいんだけど、自信を持って『そうだね』って言い返せない気分だよ。俺は一度彼女を見捨てて楽な方に逃げた。

そんな俺がこんなこと言うのもおかしなことだけど、これからの生活の中で、ウィンクルムに、人間の良いところも見せてあげられるといいな」

「我は前向きに応援するぞ。そのためにあえて、彼女と湊を二人きりにしたのだからな」

ミコトはしたり顔で言う。

「合鍵屋で我が姿を消したおかげで、彼女とも打ち解けられただろう?」

「やっぱりわざといなくなったんだ!?あの後大変だったんだからねー!」

「そうかそうか。よく頑張ったではないか。

ピンチを共に乗り越えることで男女の仲は深まる。それは、どの時代も変わらぬことだからな」

「他人事だと思って~」