あの日、言いたかったこと。


「それはそれはすごい必死だったらしいよ。
監督にも顧問にも前の部長にも、お願いだから自分を部長にしないでくれって。
メッチャ頭下げてたって聞いたっけ」


頭まで下げて自分を部長にするなって……普通、そんなことするか?

いや……しない。

普通だったら、そんなこと……


「それで理由を聞いたらしいんだけど、明確な理由は答えてくれなかったんだって。
どれも意味分かんないことばっかでさ」

「何て言ったんだ……?」

「自分は部長になる器じゃないーとか、素直にサッカーを楽しめない自分に部長をやる資格なんてない、とかさ」


悠斗……。


「あ、あと」

「まだあるのか?」

「これが一番意味が分からないんだけどさ。
アイツに合わせる顔がないから……って、何度も言ってたらしいよ」

「っ………!!」

「アイツって誰のことなんだろうなー。
昔の女とかかな」


アイツ……

それはきっと……

いや、十中八九……光輝のこと。