「そういや、桜井って言えばさー」
「今度は何だよ」
コイツ、本当にお喋り大好きだよな。
そんなことを思いながらいつも付き合ってる俺も俺だけど。
「今、すっげぇ噂になってんじゃん」
「噂?」
俺が軽く首を傾げると、俺が食いついてきたのか嬉しかったのか、健太は目をキラキラさせながら口を開いた。
「あれだよ!
サッカー部のキャプテン、辞退したって話!」
「………は?」
辞退……?
「それっ……どういうことだよ……」
俺が少し動揺すると、健太は不思議そうな顔をしながらも答えてくれた。
「どういうって……そのまんまの意味だけど?
去年から次期部長はほぼ桜井で決まってたらしいんだけどさ。
んで、今年になってそれが確定して。
普通なら嬉しいはずなのに、桜井のヤツ、頑なに断ったらしいんだよ」
頑なに……断った……。

