「あ……そういえば」


突然監督が何か思い出したように声を出した。


「お前らがやめた後……何度か光輝のお父さんがここに来てたな」

「「え……?」」


俺達は驚いて同時に監督の顔を見る。


「それ……本当ですか?」

「あぁ。
いつもここから何かを探してるみたいにキョロキョログラウンドを見ててさ。
でも、すぐに帰っちゃうんだよ」


何かを……探す?


「最初はさ、亡くなった光輝の面影でも探してるのかと思ってたんだよ。
でも、ある日……。
いつものようにここでキョロキョロしてたからさ、声をかけたんだ。
『どうしたんですか?』って。
そしたら……」

「そしたら……?」


俺が恐る恐る聞くと……監督は思いもよらぬ言葉を発した。


「『日向君と悠斗君はいませんか?』って……」


……俺の体は思わず固まった。


俺達……?


何で俺達のことなんか……。


「二人はやめたってことを話したら、すごく落ち込んだ様子で帰っていったよ。
それから来ることはなくなったけど……」


何だったんだろうな、と監督は不思議そうに言っていた……。