あの日、言いたかったこと。


「そうだ、悠斗。
聞いてくれよ、俺変な夢見ちゃってさ」

「夢?」

「そ。
何か光輝がトラックに轢かれる夢。
縁起でもないよなぁ。
やっぱり早く仲直りしろってことなのかな」

「……日向」

「このままの状態じゃ何も変わらないもんな。
ちゃんと光輝と話そ。
そんで、また一緒にサッカーやって……」

「っ……日向!!」


……二人しかいない病室に悠斗の声が大きく響いた。

悠斗のこの反応を見てすぐに察した。

……俺は恐る恐る口を開いた。


「夢……だよな?」

「………………」

「なぁ……悠斗。
……言ってくれよ。
夢だって……全部俺の悪い夢だって言ってくれよ!!」


夢であってほしかった。

夢であったらどんなによかっただろう。

でも……現実はそう甘くはない。


悠斗はうつ向き……力無く首を横に振った。

その目からは涙が溢れ出していた……。