そんなある日のことだった。
俺は悠斗と二人でいつものように下校をしていた。
そんな俺達の後を光輝が走って追いかけてきた。
「ヒナ!ユウ!」
光輝は俺達に追い付くと笑顔で話し始めた。
俺達は特に返事はしなかった。
光輝から見たら聞いてるのか聞いてないのか分からない状態だっただろう。
でも、ちゃんと聞いてた。
悠斗もうつ向きながらちゃんと聞いてたと思う。
そんな時だった。
「ヒナ、ユウ……俺、さ……」
光輝が少し言いにくそうに話し始めた。
「あの練習試合の時のお前ら見てさ……」
……俺と悠斗の周りの空気が一瞬にして張りつめた。
何だよ……何を言うんだよ……。
「俺、やっぱり……」
やっぱり……?
やっぱりあそこでボールを回してほしかった?
次に何を言われるのか……黙りこみながらも俺の心臓はバクバクだった。
だけど……
「あ、靴ひもほどけた」
そう言うと光輝はちょうど横断歩道の前でしゃがみこんで靴ひもを結び直し始めた。

