親が話してたのをこっそり聞くと、おばさんはもう治る見込みがなかったらしい。
最期に好きなことをさせよう、そういう話になって……おばさんが希望したのは息子の試合を観に行くことだった。
光輝は分かってたんだ。
もうおばさんが長くないってことが。
分かってたから……シュートを決めたかったんだ。
アイツは……光輝はどんな気持ちで俺達にそのことを告げたんだろう。
おばさんがまた今度観に来ると思ってた。
今度、なんて……もうなかったのに。
とんでもないことをした。
試合としては悪くなかったかもしれない。
でも、人として……友達として……
……何であの時パスをしなかったんだろう。
どうして……。
「日向……。
俺さ……光輝に何て言ったらいいんだろ」
「……分かんねぇ。
俺だって……分かんねぇよ」
その日から……俺達は光輝に顔を合わせづらくなって……何となく遠ざけるようになっていた。

