そして、俺にボールが回ってきた。

ドリブルをしながら少しゴールに近づく。

……と、そこで敵が前に立ちはだかった。


あ……そうだ。

悠斗にパス……。


俺は辺りを見回した。


今パスしても大丈夫そうなのは……

悠斗と……光輝。


光輝は大丈夫とでも言うようにゆっくり頷いた。


……少し、迷った。


光輝にパスするか?


でも、悠斗に渡した方が確実だ。

アイツは本当にすごい。


でも……おばさんが……


俺はおばさんの方をもう一度見た。

……元気そうだ。

……大丈夫だろ。


また……観に来れば――


……俺は勝ちたい。


そう思い始め、俺は躊躇わずに悠斗へとパスを回した。



試合は勝った。

最後は悠斗が決めてくれた。

嬉しかった。

悠斗と二人でハイタッチしたっけ。



でも……その二日後。


……おばさんは亡くなった。