……ゆっくり、一歩ずつ足を進めて行く。
なぜか心臓がバクバクしている……。
七年間……一度も来ることがなかった場所。
すぐそばなのに、来ることができなかった場所。
そこに……今、俺達はいる。
あと少し……もう少し。
……その時だった。
誰もいないと思っていたのに、足音が聞こえた。
誰かいる……?
まぁ……誰かいても不思議ではないけど……。
前方から聞こえてくる足音……。
だんだんと足音の主の姿が見えてくる。
……その姿を見て、俺達は言葉を失った。
ただ……突っ立ったままその人を見ていた。
何で……。
あの事故以来……一度も会ったことはなかった。
その人が……今、俺達の目の前に……。
その人も、俺達の姿を見て大きく目を見開かせた。
「……日向君に……悠斗君……」
七年振りに会ったその人は少し老けたように感じた。
だけど、俺達に向けてくれた笑顔は……昔と変わらなかった。
「……おじさん……」

