……墓場には誰もいなくて、とても静かだった。
足を踏み入れるのに少し戸惑った。
ここに……光輝が眠っている……。
「線香……持ってきたよな」
「あぁ……」
「花もあるよな……」
「……ある」
「あと他に何か……」
「日向」
落ち着け、と目で言われて俺は黙る。
分かってる……
分かってるけどさ……
……その時、俺はふと悠斗の手元に視線をやった。
すると……
……震えていた。
小刻みに静かに……悠斗の手が震えていた。
コイツ……。
今日は俺より落ち着いて見えてたけど……本当は……。
……そうだ。
苦しんでいるのは俺一人じゃないんだ……。

