よく通る声が、私を呼び止めた。
「ここ、良かったら」
そう言って今座っているテーブルの上を片付け始める女性。
ルーズリーフとかペンケースとか電子辞書を見る限り勉強していたに違いない。
「あ、いいんです! 外で食べるんで!」
「わたしもちょうど出るとこだったんで。使って大丈夫ですよ」
消しカスを手で綺麗に集めあげ、席を立つお姉さん。良い人…!
「じゃ、すみません。
ありがとうございます」
「いいえー。あの、その制服って桜坂高校のですよね?」
「へ」
「あ、ごめんなさい!
ちょっと気になっちゃって!」
じゃ、なんて言ってはお辞儀をし去っていったお姉さん。最後の、なんだったんだろう。
でも、席譲ってくれて助かった。

