「さみぃ…」
俺は刺さるような冷たい風に耐え切れず
首に巻いたマフラーに顔をうずめた。
俺は去年の冬、
第一志望の難波高校に受かった。
今日は入学式だ。
もう4月だというのに
まだまだ寒い。
校門の近くにある、
立派な桜の木も
花どころか葉もあまりついてなく、
寂しげな印象を与える。
「はぁ…」
ため息は白く、
冷たい空気に混ざって消えた。
一年生の靴箱の前に
先生が数人立っていて、
その隣にはクラスの表が張ってある。
「1-4か。」
俺は自分のクラスだけ確認すると
さっさと教室へ向かった。
中には友達のクラスを確認して、
一緒だと喜ぶやつや
離れてしまったと残念がるやつもいた。
でも、俺には
そんな友達はいない。