「ほら、呼ばれてるよ」 「葵・・・あたし、逃げるから・・・あとは、よろしく・・・」 あたしは、声が聞こえる方とは、逆方向に走った。 うしろからは、葵の「待ってよぉ」て声だけが聞こえた。 「はぁ・・・疲れた」 今日1日で何回目の『疲れたぁ』だろうか。 でも、ここまでくれば大丈夫。 「やっと、逃げ切ったぁ~」 階段に倒れ込もうとしたときだった。 「だれから?」 頭の上から声が聞こえてきた。 それは、とても低い声で・・・