その日、夢を見た。


でも、いつも見てる夢ではなくて。


「ごめんなさいね、まだ寝てるみたい」


と言うお父さんの声と、


「いいえ、少し顔を見られれば...倒れたって聞いたので...」


と言う聞き覚えのある男の人の声。


パタン...とドアを閉める音が聞こえ、近くに人の気配を感じた。


そしてその気配の持ち主は私の頭を撫でて、


「...やっぱり、無理だ」


と辛そうに呟くと、私の手を握った。


ぎゅう...と力を強めると、




「――――好きだ」




と小さく言った。


不思議と...幸せな夢だった。