「...えーと、これか。どーも」


「どういたしまして」


「...何だよ、先生ならいねぇぞ」


こいつは嫌いだ。前に、小春を傷つけたから。


「ううん、先生に用じゃなくて、桜が心配だっただけ」


「そりゃどーも」


綾芽が俺の横の椅子に腰を下ろす。


窓の外を見ながら薄く笑った。


「...懐かしいね」


何が?


「...覚えてるかな、桜は」


ゆっくりと顔をこっちに向けて、目を合わせた。


「小6の、あの頃...」


そして、綾芽は話し始めた――――。