「....キスしたい。
キスさせろ。」
「んっ...や、やだ!!」
「なんで。」
いつもより低い声に心臓が跳ね上がる。
「ひ、人がみてるよっ」
「...言ったろ?
独占欲強いんだよ。」
「...だ、だからって...なんで」
喋るたびに吐息が耳にかかってくすぐったい。
その吐息が妙に熱をもっていて
色っぽい。
「...だから、見せつけてぇんだよ。」
「今だって充分っ...」
「足りない。
言っとくけど、拒否権ねぇから。」
ぐっと近づく顔...
焦って目を瞑る。
ちゅ...
一瞬だけ重なった唇が
甘い音を立てて離れる。
しかし、斎藤くんの
優しい瞳があたしを捉えながら
「足りねぇ。」
と言われる。
「も...だめ...」
あたしは右手を前に出し
必死に拒否する。
「恥ずかしいの??」
「っ当たり前じゃん!!」
「そっか...」
残念そうに笑って
「まぁ、公共の場ですることじゃないよな。」
わかっていらっしゃいましたか。
