翌日の昼休み。




コトの深刻さをひなちゃんたちに報告する私。




食堂は楓が迎えに来てからだからまだ大丈夫。




「…ということなんです、ひなちゃん」






全部を赤裸々に話すと、ひなちゃんは当たり前だったみたいに顔色を変えなかった。





ひなちゃんはなんでもお見通しなんだなあって一人関心したり。




「まーそうなるよねえ。どうする、裕司君?私たちと食べてても気まずいと思うけど」




ひなちゃんがサラッと最も言いにくい事を言う。



さすがひなちゃん。




裕司も気にしてないみたいで、腕を組むとこれまたサラッと。




「そうだな。由良がいないんじゃアレだし、俺別んとこで食うわ。その方がホラ、お二人さんイチャイチャしやすいだろ?」




なんだ、裕司が考えてることはそこか。



両思いの滝沢くんは苦笑いをすると、ぽんぽんとひなちゃんの頭を軽く叩いて言う。




「心遣いは有難いけどね、生憎ひなとは教室でイチャイチャなんてしないんだな」




十分イチャイチャしてるじゃないですか。




でも、裕司はまるで今の光景が見えていないかのようにサラッとまた聞き捨てならない事を言った。





「あ、そうなの?楓くんと由良は特殊だったんだね」




「ちょっと、私は特殊じゃない。楓が特殊を通り越してるだけ」





なんて、言い争いをしていると。



廊下が少し騒がしくなった。




来たな、楓め。




私の予言通りに楓が廊下からひょっこりと顔を出すと、見る間に不機嫌になった。



「おい由良、なにまた喋ってんだよ。今日からは食堂っつっただろ?」




「楓が迎えに来るっていうから待ってたんでしょ!そいじゃ、みなさんさようなら」



これ以上楓の機嫌を悪くすると身の危険を感じるので、パッと立ち上がって楓の方へ走る。



「さよなら」



後ろから聞こえてくるのは、素っ気ないひなちゃんの声だけだった。