「ありがと」
素直に受け取ると彼は少し笑って
「彼氏とケンカでもした?」ってあたしに聞いた
「振られちゃったの」
「...バカだな」
「え?」
「お前の元彼」
「??」
「こんなかわいんだからそんなバカな男のこと忘れろ。もう泣くな」
どう見てもあたしより年下の彼
「なんかありがと」
あたしのお礼に彼は少し赤くなった
「俺家すぐそこだから」
そう言って彼は持っていたビニール傘をあたしに握らせて雨の中に走り出した
「ごめんね!ありがとう!」
走り去る彼の後ろ姿に声をかけた
「さむっ!」
我にかえり自分がびしょびしょなのに気づく
彼に借りた傘をさして家に帰る

