あたしがサッカーを好きになった理由...


それは......


「あたしお父さんいないんだ」



リフティングしていた立真くんの動きが止まる



「え?」



「あたしが幼稚園のころ死んじゃったの、交通事故で」


驚いた様子の立真くんはあたしの隣に腰をかける


「お父さんサッカー選手だったの、リーベ藤宮の」



リーベ藤宮はあたしが住んでいる地域のJ1クラブ



「うん。」



「そのときのキャプテンの先輩をかばったの、飲酒運転の車から」



「そっか...」



「あたしがね、お父さんに会いたいって言うとお母さんがいつもサッカーしてるお父さんの写真やビデオを見せてくれたんだ!それ見てると寂しい気持ち忘れられて、気がついたらサッカー自体も好きになってた。今では一人で藤宮の試合見に行ったりしてるんだ!なんか暗い話しちゃってごめんね」