さらさらと髪を撫でる春風がくすぐったい五月


アタシ、佐々木小凪は決意しました。


ふふふ、覚悟してよね。お父さん、お母さん

中学二年生から必死で受験勉強して県内でも指折りの進学校に合格したら、

アタシの願いを叶えてくれるって約束したよね!

忘れたとは言わせない!ちゃんとケータイのボイスメモに残してるんだから!!


さぁ、決戦の日は来た。

ターゲットはリビングで二人してテレビを見てる。

今なら行けます!エージェント小凪!


頭の中では、スパイのアタシはゆっくりゆっくり
足音を消して階段を下りてソファーに座ってのんびりテレビを見てる二人の背後に忍び寄る。


手には一枚の紙。


この紙を二人に突きつけて私は言う!

小学校一年生の夏休みからの夢を実現させるために



「お父さん!お母さん」



「犬飼って~~」