「あっ・・・。
忘れてました」

「今からしたくしてすぐ来い!!」

「わかりました。まー君」

電話を切った雄祐は少しため息をついた。

「どうしたの?」

「レコーディングあるの忘れてた」

「今の電話って、聖隆さん?」

「うん」

「スタジオに行くの?」

「うん。
弥生も一緒にくる?」

「行ってもいいの?」

「興味あるんだろう?」

「うんー・・・。
でもメンバーのみんなに迷惑かからない?」

「大丈夫だと想うよ。
てか、俺は一緒にきてほしいと想ってる」

「わかった」

雄祐と弥生はしたくをしてレコーディングスタジオに向かった。

スタジオについた雄祐はメンバーに挨拶をしながらも遅れたことを謝っていた。

雄祐のレコーディングが始まり弥生は見ていた。

なんの曲レコーディングしてるんだろう?

新曲かなー?

「弥生ちゃん」

「哲也さん」

「なんの曲レコーディングしてるか気になる?」

「はい」

「『Answer』のアコースッティックバージョン」

「そうーなんですか」

「雄祐がどうしてもアコースッティックで歌いたいって言ってね。
きっと雄祐が弥生ちゃんを想いながら書いた歌詞だからねー。
弥生ちゃんが雄祐を変えてくれたんだよ」

「そんなことないですよ。
ただ私は自分のありのままの気持ちや想いを雄にぶつけてきただけですから」

「それが雄祐にとっては大きいことなんだよ」

「えっ・・・」

「弥生ちゃんにとっては普通のことかもしれない。
でも雄祐にとっては今までの自分自身から抜け出せるキッカケだったんだ。
アイツはなかなか心を開かない。
とくに女性に対してたはね。
だから弥生ちゃんに出会うまではバラードの歌詞なんて書けなかった。
でも、弥生ちゃんと出会って雄祐は『人を好きになる気持ち・人を愛する気持ち』を知った。
だから『Answer』の歌詞が書けたと想う。 雄祐にとってはなかなか超えれない壁だったからね」

「そうーだったんですかー」

「弥生ちゃんも雄祐と出会った時には痛感してたよね?
アイツに何が足りなくて、アイツが何を必要としてたか?
その答えを弥生ちゃんは雄祐に与えてたんだよね?
そして、弥生ちゃん自ら道標をしてたんだよね?
だから雄祐が気づけたんだよね?」

「たしかに哲也さんが言ってるとおりです。
でも、その答えを見つけたのは雄本人だと想います。
ただ私はキッカケに過ぎないだけです」

「弥生ちゃん・・・」

レコーディングを終えた雄祐は弥生と哲也のもとへと行った。

「2人で何話してたの?」

「雄祐には関係ねえよー」

「今度はリーダーの番でしょ?」

「邪魔者は消えますわ」

哲也はレコーディングの室内に入った。

「で、リーダーと何話してたの?」

「雄の悪口」

「はぁ?」

「だから雄の悪口って言ってるじゃん」

「俺のいないところで、俺の悪口言ってたんだ」

「そうだよ」

「弥生?」

「何?」

「今日の夜覚えとけよ。
みっちしいじめてやるから。
オマエがイヤだって言っても俺はやるからな。
覚えとけよ」

どこまで雄はガキで独占欲が強いの?

これじゃ先が思いやられるよ・・・。

はぁー・・・。

「まさか・・・」

「何?」

「リーダーに口説かれた訳じゃねえよなー・・・?」

「哲也さんがそんなことするはずないでしょ?!
どうしたらそんな妄想が出来るのかねー」

「弥生に俺の気持ちがわかってたまるかよ?!」

「もうー・・・勝ってに言ってなさい!!」

そんなこんなんで無事レコーディングが終わり雄祐の自宅へと帰った。

部屋に入った雄祐はカギをかけ自分の目の前に弥生を正座させた。

「俺がレコーディングしてる昼間に哲也さんと何話してたんだよ?」

「雄が想ってることとは違うことを話てた」

「違うことってなんだよ?」

「だから、私と出会う前の雄のことを哲也さんが話してくれたの。
出会ってからのこともね」

「哲也さん、なんて言ってた?」

「『女性になかなか心を開かない。
私と出会うまではバラードの歌詞が書けなかった。
弥生ちゃんは雄祐に何が足りなくて、何を必要としてるか、わかってたんだよね?
その答えを雄祐に与えてたんだよね。
弥生ちゃん自らその道標をしてたから雄祐は気づけたんだよね。
弥生ちゃんにとっては普通のことかもしれない。
でも、雄祐にとっては大きい壁でありなかなかこれない壁だった』って」