ドリンクコーナーに着くと一人クラスの男子が飲み物を注いでいた。
溜息が出そうになった。
正直人と一対一になるのは嫌いだ。
「あっ、桜庭。」
飲み物を注いでいた彼が私の存在に気付いて視線を上げた。
「桜、何入れたの?」
なるべくいつもの私になるように自分を取り繕って彼、“桜 奎太”(さくらけいた)に話しかけた。
「レモンスカッシュ。」
私の問いかけに桜は素気なく返した。
「じゃぁ、私もレモンスカッシュにしよう!!」
なるべく周りに合わせて、自分を取り繕う。
コップをセットしてボタンを押す。
そこで桜がじっと私に視線を向けている事に気が付いた。
「どうしたの桜?私に何か着いてる?」
「…いや、」
私が問いかければ桜は少し気まずそうに口籠って、視線を下げた。
そしてまた視線を私に戻して、呟いた。
「…何か、桜庭は中学の時と変わったなって思って。」

