「やばい!なんかカラオケ久しぶりだからテンションあがってきた!!」
「あははっ!琴葉まで気合い入っちゃってるよ!!」
みんなと他愛もない話をしているうちにカラオケ店にいつの間にか着いていた。
移動中、少し感じた違和感。
ある人からの悲しみのこもった視線。
それには気付かない振りをした。
その視線を送ってきたのが誰なのかはわかっているけれど、それを拒絶するように頭の端に追いやった。
「みんなじゃんじゃん曲入れてね!!」
みんな、今時の曲や洋楽など様々な類の曲を歌っている。
「ごめ~ん、飲み物無くなったから私入れてくるね!」
「あっ、琴葉あたしのもお願い!!」
「了解!!」
クラスメイトのコップを受け取り、部屋を出た。
「・・・はぁ。」
静かになったそこで肺に溜まった空気を溜息の如く吐き出す。
騒がしいのも、人がたくさん集まるのも苦手だ。
なるべくあの部屋に居なくていいように、ゆっくりとした足取りでドリンクコーナーへと向かう。

