「こ、琴葉。今日一緒に帰れる?・・・」
控えめな声で後ろから声をかけられた。
「瑠美那?ごめん、今日みんなでカラオケ行くから無理なんだ・・・。そうだ!!瑠美那も一緒に行かない?」
“高城瑠美那(たかぎるみな)”。
色素の薄い茶色い垂れ目が特徴で、幼さが見え隠れする可愛らしい顔立ち。
この学校で私と同じ中学校だったのはこの瑠美那ともう一人しかいない。
「そ、そうなんだ。じゃぁあたしも行こうかな?」
「よし、じゃぁ決まり!!」
「よっしゃ行くぞ~!!」
「あははっ、男子気合い入りすぎっ。」
「ホントだよぉ、ただのカラオケでしょぉ?」
ぞろぞろとクラスメイト達が教室を出ていく。
私もその流れに乗っていく。
決して逆らわない。
絶対に流れから外れたりはしない。
やっとここまで作り上げて来たのだから。
わざわざ自分の手で崩すような馬鹿な真似は絶対しない。
そうすることで苦しまずに生きていけるのだから。

