「えっ、何でって……は、花野さんにバカがうつったら大変だからな。」


「えー、そんなこと言ったらゆきちゃんにはとっくにうつってるじゃん。」


「ぼ、僕は抗体を持ってるんだよっ。」


どんな理屈だよ。


今度は自分で自分につっこむ。


「…だったら、俺とゆきちゃんはずっと一緒にいられんだ。」


黒埼はなぜかしみじみと言った。


「俺、頑張ってまじめにするよ。ゆきちゃん死んだらやだし、あと花野にはあんま近づかない。バカがうつるから。」


ほんとにバカがうつるものなら、あのクラスの人間はとっくに感染者だが、そんなこと黒埼は気づかない。


僕はふふっと笑った。