「シクシク、神様が僕に言ったんだ。クラスメートの黒埼くんが悪い子だから、君は死ななきゃならない。死ななきゃ、黒埼くんは地獄に行かないといけないって。」


どんな理屈だ。


保健室の扉の向こうで誰かがツッコミをいれた。


黒埼に聞こえたかと僕はひやりとしたが、錯乱状態の黒埼には聞こえなかったようだ。


「ゆきちゃんが死ぬのは、俺のせいなの?」


「うん。でも、一つだけ生き残る方法があるんだ。」


「えっ、何?何⁇」


食いついたな。


僕は内心得意になった。


「黒埼くんが良い子になったら、黒埼くんは天国に行けるって。だから、僕は死ななくても良くなるんだ。」


「…良い子にしてたらいいの?」


「うん。遅刻はしないで、髪は黒くして、先生のゆうことを聞く。」


「遅刻したら、ゆきちゃん死ぬの?」


「うん。」


「髪が金髪のままでも?」


「うん。」


「先生のゆうこと聞かなくても?」


「うん。」


「わかった。」


黒埼は深くうなづいた。